Background: 小児期の性的虐待(CSA)は世界的な問題である。 CSAの長期的影響に関する研究の多くは女性に焦点を当てているが,少年少女に対する性的虐待は一般的である。 したがって,CSAの長期的影響を被害者の性別で比較することは,今後の研究,予防活動,サバイバーの治療の必要性について展望を与えることになる。
Methods: 1995年から1997年にかけて,カリフォルニア州サンディエゴの成人HMO会員17,337名を対象にレトロスペクティブ・コホート研究を実施した。 参加者は,幼少期の虐待または家庭の機能不全,および他の複数の健康関連問題に関するアンケートに回答した。 多変量ロジスティック回帰を用いて、CSAの重症度(性交あり対性交なし)と長期的な健康・社会問題(物質使用・乱用、精神疾患、結婚や家族に関する現在の問題)との関係を、被害者の性別ごとに検討した。 モデルは、CSAと共起する他の形態の有害な幼少期体験への曝露を制御した。 男性では、CSA加害者の性別と転帰の関係も検討した。
結果 接触型CSAは男性の16%,女性の25%が報告した。 男性は40%近く,女性は6%が女性によるCSAの加害を報告していた。 CSAは転帰のリスクを有意に増加させた。 その増加の大きさは男女とも同様であった。 例えば、性的虐待がなかったと報告した場合と比較して、CSAを経験した男女では、自殺未遂歴が2倍以上あった(p<0.05)。 CSAを報告しなかった人と比べて、CSAにさらされた男女は、アルコール依存症の人と結婚するリスクが40%高く、現在の結婚生活に問題があると報告するリスクが40%~50%高かった(p<0.05)。
結論 成人HMO患者のこのコホートでは,CSAを経験することは男女ともに一般的であった。 CSAが複数の健康・社会問題に及ぼす長期的影響は,男女とも同様であった。 これらの知見は,少年少女がこのような幼少期の虐待に対して脆弱であることを強く示唆している。男女における複数の行動的,精神的,社会的転帰の可能性が類似していることは,CSAの影響を受けたすべての成人を特定し治療する必要性を示唆するものであった。