背景と目的:頸肩腕動脈解離(CAD)患者では頭痛や首の痛みという症状がよく見られる。 痛みの特徴からCADを有する虚血性脳卒中患者のスクリーニングを試みている。

Methods: 中国鄭州市において,2010年から2017年のCADを有する連続虚血性脳卒中患者81例と大動脈動脈硬化症(LAA)を有する連続虚血性脳卒中患者84例を前向きに登録し観察した。 頭痛と頸部痛を訴える虚血性脳卒中患者を2群に分類した。 2群の頭痛と頸部痛の違いを分析し,CADに続発する痛みの特徴をまとめた.

結果 CAD群34例,LAA群19例であった。 CAD群では解離動脈の同側(41.9%),両側(41.9%),対側(16.1%)に痛みがあったが,LAA群では両側(68.4%)に痛みがあることが多かった。 解離動脈が前方循環に関与している場合,CAD患者の55.6%が側頭部に,後方循環に関与している場合,65.2%が後頭部および頸部に疼痛を有していた。 CAD患者では,ズキズキする痛み(30.0%)が多く,LAA群では脈打つ痛み(43.8%)が多くみられた。 CAD群では激痛を呈することが多かったが(46.9%)、LAA群では少なかった(11.8%)で、有意差があった(P = .003)。 また,CAD群では病変動脈の長さ(≧20mm)と痛みの重症度に有意差があった(P = 0.028)。

結語 CADによる虚血性脳卒中患者はLAAによるものに比べ,頭痛や頸部痛が強く,ズキズキとした痛みを感じる傾向がある. 前方循環解離では側頭部の痛みが多く,後方循環解離では後頭部や頚部の痛みが典型的であった.

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