肺気腫における肺胞壁破壊の形態的メカニズムは明らかにされていない。 本研究の目的は、この過程を3次元的に解明することである。 肺気腫患者5名の肺標本と,肺胞構造が正常な対照者5名の肺標本が使用された。 厚さ150μmの切片をhematoxylin and eosin、elastica、銀含浸で染色し、選択した抗体で免疫染色を行った。 これらの切片をレーザー共焦点顕微鏡と光学顕微鏡で三次元的に観察した。 コントロールの正常肺胞には、わずかなコーン孔があるだけで、フェネストレイは見られなかった。 肺気腫患者の肺では、肺胞毛細血管の間の極めて薄い肺胞壁に小さな裂け目ができていた。 この裂け目は大きくなって毛細血管に囲まれた円形を形成し、これを肺胞フェネストラと呼んだ。 また、隣接する2つの柵は、その間にある潰れたり紐状になった毛細血管が破壊されて融合し、大きな柵を形成する。 この大孔は融合を繰り返して大きくなり、その周囲を太い弾性繊維が取り囲み、肺胞の骨格を構成している。 肺気腫に伴う肺胞壁の破壊は、肺胞壁の小さな破裂から始まり、毛細血管に囲まれた柵となり、これが融合を繰り返して、弾性線維に縁取られた大きな柵になる。 肺胞毛細血管網は、まず肺胞小孔の拡大を防ぎ、次に肺胞枠を構成する太い弾性線維が肺胞壁構造の破壊を防ぐと思われる。

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